ご近所と法律
隣の空き地の草木が伸びてきたとき。世田谷区の環境美化等に関する条例と相談の順番
2026-09-04
「隣、ずっと空いたままなんですが、草がうちの塀を越えてきていて」——夏を越したあたりから増えるご相談です。誰も住んでいない土地なので、どこに言えばいいのかが分かりにくい。順番があります。
空き地の草木は、その土地の所有者・管理者が管理する
世田谷区の「空き地の雑草等に困っている」のページによると、空き地の所有者・管理者は、世田谷区環境美化等に関する条例に基づいて、空き地が危険な状態にならないよう適正に管理し、環境美化を進めることを求められています。
区のページは、困っている側の行動についてもはっきり書いています。「空き地の雑草や樹木などは、その土地の所有者または管理者に管理する責任が生じます。そのため、所有者または管理者以外の人が勝手に剪定や伐採をすることはできません」。そして「まずは、その土地の所有者または管理者に直接要望を伝え、話し合いをしていただくこととなります」。ここが最初の一手です。
条例では言葉の意味も決められています。空き地とは「現に人の使用していない土地」。危険な状態とは「雑草(かん木を含む。)が繁茂したまま放置されているため、住民の健康を害し、犯罪又は火災を発生させる等生活環境を著しく損なうような状態」です。かん木、つまり低木も雑草に含めて数えている点が、庭木の相談では効いてきます。ただし条文が扱っているのはかん木までで、高い木の枝が伸びてきている、という話は、この条例が直接扱っているところではありません。
所有者が対応しないとき、区が案内している相談先
区のページは、所有者・管理者に直接伝えても対応がないときや、解決が困難なときは、弁護士相談または区民相談を利用することを案内しています。どちらも区の相談で、相談者は区内在住・在勤・在学の方に限られます。
弁護士相談は法律問題全般が対象で、予約制です。相談日の1週間前の同じ曜日の午前9時から、担当の区民相談室に電話で予約します。1人25分。
| 曜日 |
区民相談室 |
電話 |
| 月曜 |
烏山 |
03-3326-6304 |
| 火曜 |
砧 |
03-3482-3139 |
| 水曜 |
世田谷 |
03-5432-2016 |
| 木曜 |
北沢 |
03-5478-8001 |
| 金曜 |
玉川 |
03-3702-4864 |
区民相談は相続や不動産など日常生活の困りごとが対象で、受付は平日午前8時30分から午後5時まで。電話は上の表と同じ各区民相談室です。
所有者が分からないときは、区のページのとおり法務局で確認できます。登記事項証明書には交付の手数料がかかるので、額は法務省の登記手数料のページでご確認ください。
区が動くのは「状況によって」
窓口は、その土地のある地域を担当する総合支所の地域振興課です。区のページの書き方は「状況によって、区では空き地の状況を確認し、所有者を調べ、適正な管理をするよう依頼しています」。必ず調査と依頼が行われる、とは書かれていません。
| 地域 |
窓口 |
電話 |
| 世田谷 |
世田谷総合支所 地域振興課 |
03-5432-2818 |
| 北沢 |
北沢総合支所 地域振興課 |
03-5478-8038 |
| 玉川 |
玉川総合支所 地域振興課 |
03-3702-1134 |
| 砧 |
砧総合支所 地域振興課 |
03-3482-1324 |
| 烏山 |
烏山総合支所 地域振興課 |
03-3326-1207 |
区自身、「土地の所有者に行きあたらず、対応のお願いができないことや、対応を依頼しても日数がかかることがあります」と書いています。ただ、区から依頼が届いた時点で動く土地もあります。
指導、勧告、措置命令、代執行という段取りがある
条例には、依頼のその先も書かれています。区長は、空き地が危険な状態にあると認めるときは、所有者等に雑草の除去を指導し、期限を定めて勧告できます。勧告に従わないときは除去を命じ、命令が履行されないときは、行政代執行法の規定により、区が自ら除去し、または第三者に行わせて、その費用を所有者等から徴収できます。
段取りが用意されているのと、実際にそこまで進むのとは別です。どの段階に進むかは区の判断で、「危険な状態にあると認めるとき」が入口になります。草が伸びている、では足りないということです。近隣として伝えられるのは、その判断材料です。いつからか、どこまで及んでいるか、火の気や不法投棄はあるか。写真と日付があると話が具体的になります。
越境した枝や根は、この話とは別の制度で決まっている
空き地の管理と、自分の敷地に入ってきた枝・根をどうするかは、別々の話です。前者は区の条例、後者は民法の規定で、切っていい条件も、誰が切るのかも変わります。越境した枝をこちらで切除できるのは、催告しても相当の期間内に切除されないとき、所有者や所在が分からないとき、急迫の事情があるときなどに限られます。2023年4月の民法改正で変わった点は隣の家からはみ出した枝は切っていいのか。2023年4月の民法改正で変わったことに書きました。
はみ出している先が私道や、通行に支障が出ている場所なら、言い先そのものが変わります。私道や隣地にはみ出した隣の木は、どこに言えばいいのか(世田谷区)をご覧ください。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採・抜根・剪定・草刈り・庭の片付け・植栽を請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。
隣の空き地の件では、ご自身の敷地の中の草刈りや、境界沿いの下草を片づけて防草シートを敷くところまでをご相談いただけます。越境してきた枝の切除は、上の民法の条件を満たしているか確認したうえでのご相談です。隣地側に立ち入っての作業はできませんので、そこは区や所有者とのやりとりになります。
境界のあたりが写った引きの写真、伸びてきているものの根元が見える写真、敷地までの通り道。この三つがあると、電話やLINEでも話が進みます。
参考にした資料
この記事は2026年9月時点の資料をもとにしています。条例の内容、担当曜日や電話番号、手数料は変わることがあります。相談される前に、区のページと窓口でご確認ください。