ご近所と法律
道路にはみ出した枝は誰が切るのか。世田谷区・川口市の道路管理者から連絡が来る流れ
2026-08-21
「市の方から、木が道にはみ出していると連絡が来まして」——このご相談は、春から夏にかけて増えます。植えたときは道から引っ込んでいた木が、十年経つと枝先が歩道の上まで届いている。ご本人は気づきにくく、たいていは外から言われて初めてわかります。誰が切るのか、切らずにいるとどうなるのか。川口市と世田谷区の公式ページから整理しました。
私有地の木は、市や区が切ってくれるわけではない
川口市の「道路に張り出した樹木の剪定のお願い」には、私有地から生えている樹木は所有者に帰属するもので、市が剪定や伐採をすることはできない、と書かれています。道路にはみ出した枝でも、根元が敷地の中にある以上、手を入れるのは持ち主の側という整理です。
理由は通行の安全です。市のページは、枝葉が道路上に張り出すと「道路の見通しを悪くし、歩行者や自動車などの通行に支障をきたしてしまうことがあります」としています。世田谷区の「公道に樹木の枝がはみ出している」のページも、道路は「目の不自由な方やベビーカー・車いすを利用する方など、様々な歩行者が通行するための公共空間です」という一文から始まります。自分の敷地の中の話に見えて、影響が出るのは道の側、という書き方は両方に共通します。年に一度、道の反対側から自分の家を眺めてみると、どこが出ているかは案外はっきりわかります。
事故が起きたとき、責任はどこへ向かうのか
川口市のページは、事故が発生した場合について「樹木の所有者が責任を問われることもあります」と書き、参考となる法令を三つ挙げています。
| 法令 |
条文の表題 |
内容 |
| 民法第233条 |
竹木の枝の切除及び根の切取り |
隣地に枝が越境した場合の扱い |
| 民法第717条 |
土地の工作物等の占有者及び所有者の責任 |
工作物の設置・保存の瑕疵による損害の責任。庭木には第2項の準用で及ぶ |
| 道路法第43条 |
道路に関する禁止行為 |
道路の構造または交通に支障を及ぼす虞のある行為の禁止 |
民法第717条は一段階はさんで読む必要があります。木そのものは第1項でいう「土地の工作物」ではなく、木に働くのは第2項の「前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。」のほうです。そしてその第1項が先に挙げているのは、所有者ではなく占有者です。現に管理している側がまず責任を負い、その占有者が防止に必要な注意をしていたときに所有者が負う。自宅の庭の木なら同じ人ですが、借りている家や貸している土地の木は別になります。当てはめは個別の事情によりますので、事故が起きてしまった場合は弁護士等の専門家にご相談ください。
民法第233条は隣地との間の話で、道路とは別の論点です。2023年4月に改正された部分もありますので、お隣との枝のやりとりでお困りの場合は隣の家からはみ出した枝は切っていいのか。2023年4月の民法改正で変わったことをご覧ください。
自治体から連絡が来る流れ
通行する人や近隣の方が道路管理者に知らせ、そこから所有者へ剪定の依頼が届く、という順番が一般的です。区や市が見回って見つけるより先に、誰かの通報で動くことが多いということです。
世田谷区のページには、その先も書かれています。「樹木の所有者が適正な管理を怠ると、それによって生じた危険を防止するため特に必要があると認められる場合においては、道路管理者により伐採等の措置命令を受けることがあります(道路法第44条第4項)」。
連絡先は、道路の種類によって分かれます。
| 道路 |
問い合わせ先 |
電話 |
| 区道(世田谷地域) |
世田谷土木管理事務所 |
03-3424-2790 |
| 区道(北沢地域) |
北沢土木管理事務所 |
03-5486-7010 |
| 区道(玉川地域) |
玉川土木管理事務所 |
03-3702-4914 |
| 区道(砧地域) |
砧土木管理事務所 |
03-3417-9571 |
| 区道(烏山地域) |
烏山土木管理事務所 |
03-3308-8133 |
| 都道 |
東京都建設局第二建設事務所管理課 |
03-3774-8185 |
| 国道 |
国土交通省関東地方整備局東京国道事務所 |
03-3374-9451 |
川口市の窓口は道路管理課占用係です。第一本庁舎3階(川口市青木2-1-1)、電話048-229-5904、受付は平日の8時30分から17時15分まで。
自分で切るか、人に頼むか
はみ出しているのが細い枝で、脚立の要らない高さなら、ご自身で切っても構いません。世田谷区は高枝切ばさみを無料で貸し出しています。貸出期間は1回につき5日間以内、場所はまちづくりセンターと公園管理事務所、窓口で申請書に記入して借ります。問い合わせはみどり政策課(03-6432-7905)。ただし道路上で使ってよいかも、切れる枝の太さの上限も区のページには書かれていません。敷地の中から手の届く枝を落とす道具と考えておくのが無難です。
剪定が難しい場合の相談先も案内されています。区内の植木業者の紹介は一般社団法人世田谷造園協力会、除草と簡易な剪定は公益社団法人世田谷区シルバー人材センター。後者は予約から実施まで約1か月かかり、「枝の剪定は、太さ10センチメートルまでの樹木になります」と注記されています。上限がかかっているのは枝ではなく樹木の太さのほうですから、幹の太い木は枝先だけの依頼でも対象外です。
気をつけたいのは、道の上での作業になるという点です。脚立を道路に置いて上に乗る、切った枝が車道に落ちる——これは道路交通法第77条第1項第1号の「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に当たる場合があります。同条の道路使用許可を出すのは所轄の警察署長ですので、歩道や車道に出て作業するつもりなら先に確認してください。高いところ、太いところ、電線が近いところは、無理をせず人に頼んだほうが早く済みます。
なお、枝を落とすだけでなく木そのものを切る場合は、届出が要ることがあります。世田谷区の伐採届の対象は、地上1.5メートルの高さでの幹周りが80センチメートル以上、もしくは高さ10メートル以上の樹木です。どちらか一方でも当てはまれば対象で、幹は細くても背の高くなった木は見落としがちです。詳しくは世田谷区で庭木を切る前に。幹周り80センチ以上なら伐採届が要りますをご確認ください。
庭番にご相談いただけること
庭番は、世田谷区とその周辺、そして川口市の近隣で、伐採・剪定・抜根・草刈り・庭の片付け・植栽をお受けしています。道路にはみ出した枝の剪定もそのひとつで、たいていは急ぎのご相談です。道に面した部分だけを落とす、庭全体を一度整える、どちらでも承ります。切った枝は、お住まいの自治体の決まりに合わせた長さに切りそろえてお渡しすることも、こちらで引き取ることもできます。どこまで戻せば足りるのかの判断も含めて、現地で一度見せていただければお伝えします。ご相談は電話またはLINEで承ります。
参考にした資料
この記事は2026年8月時点の内容をもとに書いています。窓口の名称や電話番号、貸し出しの条件は変わることがありますので、最新の内容は世田谷区・川口市の公式ページでご確認ください。