世田谷区の保存樹木・保存樹林地に指定された木は切れるのか。伐採等届と指定解除の流れ
「うちのケヤキ、区の保存樹木になっているらしいんです。もう切れないんでしょうか」
世田谷区でご相談をいただくと、ときどきこの話になります。切れないわけではありません。ただし手順があります。世田谷区の保存樹木制度は、所有者の同意のうえで指定し、やむを得ず伐採する場合は届出を出して指定を解除してから切る、という流れになっています。
指定の基準は、幹周り1.2メートルから
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 中・高木 | 地上1.5メートルの幹周りが1.2メートル以上で、樹形が優秀なもの |
| 低木 | 高さまたは葉張りが3メートル以上で、樹形が優秀なもの |
| つる性のもの | 枝葉面積が30平方メートル以上 |
| 並木 | 高さ4メートル以上の樹木が30メートル以上列植されているもの |
| その他 | 歴史的な由緒があるもの、希少価値があるものとして区長が認めたもの |
保存樹林地は、面積1,000平方メートル以上の樹木の集団が基準です。ただし、基準を満たせば自動的に指定されるものではありません。樹勢と樹形がよく手入れがされているものが理想とされ、枝葉が敷地外へ大きくはみ出している、不安定な斜面地に生えているといった場合は指定が難しいとされています。令和5年4月時点で保存樹木が約1,700本、保存樹林地が約30ヘクタールです。
指定を受けたあとの扱い
指定の有無は、みどり政策課(03-6432-7904)で確認できます。指定を受けたあとも樹木の管理主体は所有者で、適宜剪定などの手入れをすることがお願いとして書かれています。
区の側の支援は、造園業者の派遣(3年に一回程度を原則に、枯れ枝や支障となる枝の除去)、枝折れの緊急の手入れ、樹木の診断と助言、賠償責任保険への加入、標識板の設置、落ち葉の収集です。
このうち保険は、区が指定樹木・樹林地を対象に加入し、被保険者は所有者ご本人です。枝折れや倒木で事故が起き、第三者に対人・対物の被害が出た場合に適用されます。ただし地震・台風などの自然災害による場合は適用外で、所有者ご本人とご家族への被害、所有者の家屋等への被害も適用外です。事故が起きたときは区へ至急連絡すること、安全に気をつけながら事故後の写真を残しておくことが案内されています。剪定の希望は毎年届く郵送はがきのアンケートで受け付けています。
注意が一つ。これらの支援は区の予算の範囲内で行われるもので、必要な剪定の範囲が予算を超える場合は一部費用の負担などについて相談させてもらうことがある、と区の案内にあります。伐採、強い剪定、家屋・塀・排水管の修繕、落ち葉の清掃は対象外で、所有者側での手配です。通常の手入れに区への届出は要りません。
保存樹林地では、樹林地において建築物その他の工作物の新築・増築・改築をしようとするとき、木竹の伐採や移植をしようとするときに、みどり政策課への連絡が必要です。母屋の建て替えのように、工事の主役が木ではない場合も含まれます。
切りたいときは、伐採等届を出して指定を解除してから
保存樹木等が枯れてしまったとき、またはやむを得ず伐採する場合は、指定解除の手続きが必要とされています。流れは次のとおりです。
- 事前の問い合わせ
- 現場確認(区と立会い)
- 伐採等届の提出
- 区が告示手続き(受理後およそ3週間)
- 区から指定解除通知書の送付
- 保存樹木等の伐採等
提出するものは、「保存樹木・保存樹林地伐採等届」(みどりの基本条例施行規則 第4号様式)と、位置図およびその周囲の状況を明らかにする図面等の2点。提出先はみどり政策課です。
切るのは最後です。区の資料には「告示日以降は、保険等の区の支援の対象外となります」と注記が付いています。剪定の派遣だけでなく、先ほどの賠償責任保険も告示の日で切れるということです。木がまだ立っている間に指定が解除されるので、伐採までの安全確保は所有者側で意識しておいてください。手続きに時間を要することもあるので、業者の手配より先に区へ一報を入れておくと段取りが崩れません。
例外もあります。倒木の恐れがあるなど急を要する場合は先行して実施し、区に連絡してください、と書かれています。
所有者が変わった場合や、住所・氏名が変わった場合は、所有者等変更届(第3号様式)を速やかに提出します。相続で庭を引き継いだ方は、ここが抜けやすいところです。
助成は、切るときではなく「移す」ときに用意されています
保存樹木を移植しようとするときは、助成を使うかどうかに関わらず、速やかにみどり政策課へ連絡することになっています。自費で動かすから連絡は要らない、とはなりません。
金額の助成があるのは移植のほうです。対象は地上1.5メートルの幹周り80センチメートル以上、または高さ10メートル以上の樹木で、助成額は移植経費の2分の1。1本当たりの限度額は区指定の保存樹木等が50万円、その他の樹木が10万円です。区内の樹木を区内へ移す場合が対象で、申請は工事の発注前。指定を外して切ってしまうと、この助成は使えません。
名木百選は、保存樹木の指定とは別の話です
世田谷名木百選は、昭和61年度の148本から再選定を経て現在は150件です。保存樹木と重なる木はありますが、同じ制度ではありません。ここまでの手続きの話は、保存樹木・保存樹林地の指定を受けている場合のものです。
指定されていない木にも、別の届出があります
指定を受けていない木でも、地上1.5メートルの高さで幹周り80センチメートル以上、または高さ10メートル以上の樹木を伐採するときは、みどりの基本条例に基づく伐採届が必要です。
ただし、はっきりと例外が置かれています。区が届け出の対象とならないものとして挙げているのは、枯損した樹木または危険な樹木の伐採、農業・林業・造園業等において事業として行う樹木の伐採、非常災害のために必要な応急措置として行う樹木の伐採、他のみどりの保全のために行う除伐等です。保存樹木等として届け出を行った樹木の伐採も対象外で、指定木は前の章の手続きで進めます。
提出先も、保存樹木とは別の窓口です。伐採届は、伐採する場所を管轄する総合支所の街づくり課へ、木を切る前に出します。
- 世田谷総合支所 街づくり課 03-5432-2460
- 北沢総合支所 街づくり課 03-5478-8076
- 玉川総合支所 街づくり課 03-3702-4573
- 砧総合支所 街づくり課 03-3482-1398
- 烏山総合支所 街づくり課 03-3326-9618
風致地区の中では扱いが変わります。東京都風致地区条例に基づく許可を受けた樹木の伐採はこの伐採届の対象外とされる一方で、「世田谷区風景づくり条例」に基づく「木竹」の伐採の届け出は別に必要になります、と区は明記しています。相談先は都市整備政策部 都市デザイン課(03-6432-7153)です。ご自宅が該当する区域かは計画の段階で確かめておいてください。
木のほうは、庭番でご相談ください
保存樹木になるような大きさの木は、どこから枝を落とすか、隣家や電線をどう避けるか、幹をどう運び出すかで進め方が変わります。強い剪定は区の支援の対象外なので、仕立て直しも所有者側での手配です。
庭番は世田谷区とその周辺、川口市の近隣で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えをお受けしています。八年で二千件ほどの現場を見てきました。お庭の写真を送っていただければ、できることをお返事します。ご相談は電話でもLINEでも構いません。
参考にした資料
この記事は2026年8月時点の内容をもとにしています。制度は変わることがあるので、最新の内容とご自宅の木の指定の有無は、世田谷区の公式ページとみどり政策課でご確認ください。