費用と業者えらび
国交省の公共工事設計労務単価で伐採の見積りは読めるか。造園工の単価と含まれない費用(世田谷区)
2026-10-31
「この見積り、高いのか安いのか分かりません。
国が決めている単価のようなものはないのでしょうか」。
伐採の見積書を前にして、こうした声を聞くことがあります。
国土交通省は毎年、「公共工事設計労務単価」を公表しています。
職種ごと、都道府県ごとに1日あたりの金額が載っています。
ただ、この単価は庭木の伐採1本の値段ではありません。
国交省の報道発表資料と積算基準をもとに、単価の中身と、民家の見積りに当てはめるときの限界を順に書きます。
令和8年3月から適用の単価と、全国全職種の平均
国交省は令和8年2月17日に、「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」を公表しました。
令和7年度に行った公共事業労務費調査にもとづいて決めたもので、47都道府県・51職種別に単価を設けています。
報道発表のポイントは次の3つです。
- 全国全職種の単純平均で、前年度比4.5%の引き上げ
- 平成25年度の改定から14年連続の引き上げ
- 公共工事設計労務単価には、事業主が負担すべき人件費(必要経費分)は含まれていない
全国全職種の加重平均値は全職種をならした国の公表値で、庭番の料金ではありません。
庭木の作業に近い職種の金額は、都道府県別の表で確かめます。
庭番の料金の目安は料金表をご覧ください。
東京都の造園工・とび工の単価
報道発表資料(PDF)の「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価」の表から、東京都の欄のうち庭木の作業に関係しそうな職種を抜き出すと次のとおりです。
| 職種 |
東京都の単価(円) |
必要経費を加えた参考値(円) |
| 造園工 |
27,700 |
40,900 |
| とび工 |
33,100 |
48,900 |
| 特殊作業員 |
30,700 |
45,300 |
| 普通作業員 |
27,000 |
39,900 |
| 軽作業員 |
18,700 |
27,600 |
資料は造園工を「造園工事について相当程度の技能を有し」、樹木の植栽や維持管理などの作業を主に担う人と定めています。
庭木の剪定や植え替えに近いのはこの職種です。
右の列は、同じ資料にある「参考公表:建設労働者の雇用に伴い必要な経費の表示」の数字です。
法定福利費(事業主負担分)、労務管理費、安全管理費、宿舎費などを労務単価に足した参考値です。
資料はこの参考値について、全国調査をもとにした試算で、工種や工事規模などの条件で変わると注記しています。
単価は「8時間あたりの賃金」で、諸経費は入っていない
資料は、労務単価を「所定労働時間内8時間当たりの単価」としています。
中身は、基本給相当額、基準内手当、臨時の給与(賞与など)、実物給与(食事の支給など)の4つです。
同じ資料は、次のものは労務単価に含まれないとしています。
- 時間外、休日、深夜の労働の割増賃金
- 通常の作業条件や作業内容を超えた労働への手当
- 現場管理費(法定福利費の事業主負担分、研修訓練などの費用)と一般管理費などの諸経費
これらの必要経費は、公共工事の積算では共通仮設費や現場管理費の中に入れる、と資料は書いています。
労務単価は、あくまで働く人に払われる賃金の水準です。
見積書に載る金額には、ほかに機械や車両の費用、枝や幹の運搬・処分の費用、会社の経費などが重なります。
労務単価と見積額を直接くらべても、差が出るのは当然です。
見積書のどこに何が入るかは、伐採の見積書はどこを見るか。切る費用と処分費が別になる理由(世田谷区)にまとめています。
なお、資料は、建設業法第34条第2項にもとづき中央建設業審議会が勧告した「労務費に関する基準」で、この単価が「適正な労務費」の計算の基礎になる水準に位置づけられていると書いています。
公共工事・民間工事を問わない、という説明です。
公共工事の伐木除根の積算は、庭の作業とは前提が違う
国交省の積算基準には、河川や道路の工事で木を除く「伐木除根」の考え方があります。
ただ、その前提は庭木1本の作業とかなり違います。
国交省の施工パッケージ型積算基準の正誤表(平成28年4月1日以降に入札書提出期限日を設定している工事から適用)では、伐木・伐竹(伐木除根)の積算単位は平方メートルです。
区分は木の密集度で分かれています。
| 区分 |
樹木の密集度 |
| 伐木(粗) |
10本/100㎡未満 |
| 伐木(中) |
10本/100㎡以上 50本/100㎡未満 |
| 伐竹 |
- |
同じ表の注には、「刈草及び伐木・伐竹の集積は含まない」とあります。
つまり、面積あたりで広い範囲の木を切る作業を前提にしています。
切った木を集める作業は別に扱われます。
国交省の「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」(令和7年2月28日付け通知、令和7年4月1日から適用)では、ブルドーザやバックホウで雑木や小さな樹木を除く「伐開」を準備費に入れています。
ただし「樹木をチェーンソー等により切り倒す伐採作業は含まない」としています。
現場の外へ運び出す費用と処理費用は、現場の条件を確かめて積み上げる扱いです。
民家の庭では、木は1本から数本で、建物や塀、電線が近くにあります。
枝を少しずつ下ろしたり、手で運び出したりすることも多くなります。
面積あたりの区分で、重機で一気に除く公共工事の考え方は、そのままでは当てはまりません。
高い木の切り方による違いは、2階より高い木を1本だけ切るには。倒す・順番切り・吊り切りの違い(世田谷区)に書いています。
見積りを確かめるときの使い方
労務単価で見積りの妥当性を直接判断することはできません。
ただし、次のような確かめ方には使えます。
- 見積書の人工(にんく)の欄に、何人で何日かかる想定かが書かれているかを見る
- 人数と日数が分かれば、労務部分がおおよそどの水準か、東京都の造園工などの単価と並べて目安にする
- それ以外の金額が、処分費、車両費、機械の費用、諸経費のどれに当たるのかを業者に聞く
金額をくらべるなら、単価表より、同じ条件で複数の業者から見積りを取るほうが確かです。
条件のそろえ方は伐採の相見積もりはどう取るか。同じ条件で出してもらうために伝えること(世田谷区)にまとめています。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。
下見のうえで、作業の人数や日数の見込み、切った枝や幹の運び出しと処分の扱いを分けてお伝えできます。
ほかの業者の見積書と見比べたいときも、どこが違うのかを一緒に整理できます。
料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。
ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年10月時点の国土交通省の公表資料によります。
公共工事設計労務単価は毎年改定され、積算基準も年度ごとに改定されます。
数字を使う前に、国土交通省の最新の資料を確かめてください。