手入れと処分
世田谷区で庭木を切る時期。落葉樹は冬、常緑樹は春が基本で、急ぐときは別
2026-08-22
「いま切ってもらっていいものか、春まで待ったほうがいいのか」——お電話で最初に聞かれることの多い質問です。庭木の手入れは、頼む時期で木の負担が変わります。ただし、どの木も同じ月がいいわけではなく、落葉樹と常緑樹では切っていい季節がずれます。自治体が街路樹の管理のためにまとめている資料から整理しました。
落葉樹は冬、常緑樹は春。適期が分かれる理由
埼玉県県土整備部道路環境課の「街路樹剪定マニュアル」(令和2年12月)は、剪定を「生きた樹木の組織を切り取る作業」と書き、「樹木が活動している期間に剪定すればダメージが大きく、休眠期または緩い生長期に行えば、痛手を最小限とすることができる」と原則を置いています。適期は「落葉樹は晩秋から早春の芽出し前の落葉期間と、常緑樹も含め、一時葉の生長が緩慢になり、寒さの影響を受けない夏の頃」。東京都建設局公園緑地部の「街路樹維持管理計画書」(令和3年12月)も、基本剪定(冬期剪定)は主に落葉樹を対象に樹木全体の骨格をつくるもので、時期は「樹木の休眠期(晩秋~早春)に行う」としています。
樹種ごとの月の目安は、長崎市土木総務課の「樹木の剪定方法」が表にしています。
| 樹木の種類 |
基本剪定 |
軽い剪定 |
| 常緑針葉樹 |
3月~5月 |
10月~11月 |
| 常緑広葉樹 |
3月~6月 |
8月~10月 |
| 落葉広葉樹 |
12月~翌年2月 |
3月、6月、9月、10月 |
常緑樹の樹形作りについて、埼玉県のマニュアルは「各樹種共新芽が膨み始めた頃、すなわち東京を標準とした場合は4月上・中旬頃がよい」としています。長崎と東京では暖かくなる時期が違いますので、月の数字は幅のあるものとして見てください。
冬に切るとき、寒さに弱い木がある
冬は落葉樹の季節です。葉が落ちて枝ぶりが見えるので、どこを残してどこを抜くかの判断がしやすく、太い枝を扱う作業も冬に回すことが多くなります。世田谷区みどり政策課の「みどりの維持管理について」にも「秋の落葉後は一般的に落葉樹の剪定時期です」とあります。
ただし、冬なら何でもいいわけではありません。東京都の計画書は、冬期剪定の注意として「クスノキ、タブノキなど暖地性の常緑樹は寒さに弱く、切り口が寒さにさらされるとそこから枯れる場合があるので、厳冬期の剪定は避ける」「2月頃から水を上げ始めるカエデ類などは年内に剪定を行い、生理障害を回避する」の二つを挙げています。同じ冬でも、12月と2月では向いている木が違うということです。埼玉県のマニュアルも、関東など寒地では11月以後に強く切ると残された枝葉が降霜・寒風で傷むとして、11月以後の強い剪定を慎むよう書いています。
花の咲く木も冬は注意が要ります。サクラ類、コブシ、ハナミズキなどは、冬の時点ですでに翌春の花芽ができています。埼玉県のマニュアルは、これらの花木に多くの花を咲かせるには「剪定を厳禁とするサクラ類を除き、花が終わった直後から1ヶ月以内の間の、翌年の花芽が形成される前に剪定し」と書いています。サクラ類は、軽くなら切ってよいのではなく、剪定そのものを厳禁とする扱いです。冬に切るとしても「花芽を持った過密枝の『軽度な枝透かし剪定』程度に止める」とされています。ただしサルスベリは例外で、同マニュアルも東京都の計画書も、その年に伸びる新梢に花をつけるため冬期剪定を行ってよいとしています。
夏に切るとき。強くは切らない
東京都の計画書は軽剪定(夏期剪定)の目的を「萌芽した枝の密度調整、乱れた樹冠の整正、台風などの強風による倒木防止、病虫害の発生防止」とし、時期は「梅雨前後から秋前を基本とするが、酷暑期は極力避ける」としています。あわせて「樹木が葉を茂らせ光合成により養分を蓄える時期であるので強剪定は行わない」、暖地性の常緑樹の枝抜きは適期だが「枝葉の切除量は全体の1/3 以下」とも書いています。埼玉県のマニュアルも、してはいけない剪定として、春の葉の展開期、夏期の強い剪定、落ち葉の処分を早めるための秋早い剪定、暖地性の常緑広葉樹の厳冬期の剪定の四つを挙げています。
もうひとつ、夏に見落とせないのが虫です。世田谷区の「チャドクガについて」によれば、チャドクガは「ツバキ、サザンカ、チャなどツバキ科の植物に発生」し、幼虫は4月~6月、8月~9月の年2回発生します。毒針毛は顕微鏡でないと見えない細さで、ご自身で切る場合は帽子・長袖・ゴム手袋・マスク・メガネで肌を出さないよう案内されています。切った枝を出すときも、区は「袋に入れて『毛虫注意』などの表示をしてからお出しください」としています。
急ぐときは、時期を待たなくてかまいません
ここまでは、木を残して育てていく前提の話です。危ないものについては、別に考えます。
東京都の計画書は、冬期剪定・夏期剪定とは別枠で「支障枝剪定」を置き、樹形を乱す枝、「通行の支障や事故を誘発する恐れのある建築限界内の枝や視距を妨げる枝」、枯枝は適宜除去するとしています。適期を待つ枝ではなく、見つけたら落とす枝という扱いです。世田谷区の「みどりの維持管理について」も、キノコ等の菌類、枯れ枝や折れ枝、幹の剥がれや空洞、害虫、腐った支柱、家屋や電線に触れている枝を確認する項目に挙げています。当てはまるときは、季節を理由に先延ばしにしないほうがよい状態です。
道路や隣家にはみ出している枝も同じで、こちらは苦情や連絡が先に来ることが多いものです。流れについては道路にはみ出した枝は誰が切るのか。世田谷区・川口市の道路管理者から連絡が来る流れにまとめてあります。
根元から伐ってしまう場合も、剪定ほど時期に縛られません。切ったあとの木の生理を心配する必要がないためです。ただし夏は葉が茂っているぶん、運び出す量も処分の手間も増えます。急がない伐採なら、葉の落ちたあとのほうが片付けは楽です。
段取りは、切る時期とは別に考える
時期とあわせて気に留めておきたいのが、届出です。世田谷区では、みどりの基本条例に基づき、「地上1.5メートルの高さにおける幹周り80センチメートル以上の樹木の伐採行為」と「高さ10メートル以上の樹木の伐採行為」が届出の対象です。どちらか一方に当てはまれば対象になります。詳しくは世田谷区で庭木を切る前に。幹周り80センチ以上なら伐採届が要りますにまとめてあります。区の同じページには「ただし、『世田谷区風景づくり条例』に基づく『木竹』の伐採の届け出は別に必要となります」ともあり、都市デザイン課への事前相談が案内されています。
一方、枯れて傷んだ樹木(枯損した樹木)または危険な樹木の伐採と、非常災害のために必要な応急措置として行う伐採は、届出の対象外です。倒れそうな木や枯れた木を、届出の順番待ちのために置いておく必要はありません。
落葉樹の適期である12月から2月と、常緑樹の適期である春先は、同じ理由で依頼が集まります。台風の前後もそうです。日取りに希望があるときは、早めにご相談いただいたほうが調整しやすくなります。
庭番にご相談いただけること
庭番は、世田谷区とその周辺、そして川口市の近隣で、伐採・剪定・抜根・草刈り・庭の片付け・植栽をお受けしています。今が適期なのか、春まで待ったほうがいいのかも、木を見せていただければお伝えします。待てる木は待つ、危ない枝だけ先に落とす、という分け方でも構いません。ご相談は電話またはLINEで承ります。
参考にした資料
この記事は2026年8月時点の内容をもとに書いています。適期の目安は地域や樹種によって幅があり、届出の要件も変わることがありますので、最新の内容は各自治体の公式ページでご確認ください。