費用と業者えらび
親の家の庭木の剪定は介護保険で頼めるか。老振76号の対象外と世田谷区の頼み先
2026-11-02
「母が一人で住んでいる家の木が、道にかかるくらい伸びてしまって。
ヘルパーさんが週に何回か来ているので、ついでに切ってもらえないかと思ったんです」。
離れて暮らすご家族から、こうした相談を受けることがあります。
訪問介護でヘルパーに頼める家事には範囲があります。
その範囲を示している国の通知に、平成12年11月16日の老振第76号「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」があります。
この記事では、通知の文面と世田谷区の公式ページをもとに、庭の手入れがどう扱われているかと、保険の外で頼むときの相談先を書きます。
老振第76号は、何を決めている通知か
老振第76号は、厚生省老人保健福祉局振興課長が出した通知です。
ここでは、国立社会保障・人口問題研究所が収録している文面を読みました。
通知の2は「保険給付として不適切な事例への対応について」という項目です。
ヘルパーが利用者の家を訪ねたとき、保険給付として適切な範囲を外れたサービスを求められた場合の扱いを決めています。
その例として通知に付いているのが、別紙「一般的に介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例」です。
別紙の見出しには「一般的に」と付いています。
一つひとつの家の事情をすべて決めた表ではありません。
判断がつかない場合は保険者(市町村)に確認を求めること、と通知の本文に書かれています。
草むしりと花木の水やりは「日常生活の援助」に当たらない
別紙は、対象にならない行為を大きく二つに分けています。
一つ目は「直接本人の援助」に該当しない行為です。
家族のための洗濯や調理、来客の応接などがここに入ります。
二つ目が「日常生活の援助」に該当しない行為で、庭の作業はこちらに入っています。
「日常生活の援助」に該当しない行為は、さらに二つに分かれています。
| 通知の区分 |
別紙に挙がっている行為 |
| (1)訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為 |
草むしり、花木の水やり、犬の散歩等ペットの世話等 |
| (2)日常的に行われる家事の範囲を超える行為 |
家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え/大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ/室内外家屋の修理、ペンキ塗り/植木の剪定等の園芸/正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理等 |
草むしりと花木の水やりは、ヘルパーがしなくても暮らしに支障が出ない行為として挙がっています。
剪定は「家事の範囲を超える行為」に入っている
庭木の剪定は、別紙の「(2)日常的に行われる家事の範囲を超える行為」の中に「植木の剪定等の園芸」として書かれています。
水やりや草むしりとは別の区分で、大掃除や家屋の修理と同じ並びです。
一方で、「伐採」という言葉はこの通知には出てきません。
「庭」という言葉もありません。
木を根元から切る作業がどう扱われるかを、通知の文面だけで言い切ることはできません。
剪定が家事の範囲を超えるとされている以上、伐採が対象になると読める書き方もありません。
気になる場合は、通知にあるとおり保険者に確かめるのが確かです。
通知の本文は、ヘルパーがこうした頼みを受けたときの対応も決めています。
- ヘルパーから利用者に、介護保険の給付の対象としては適当でないと説明する
- 利用者が保険の範囲外のサービスを望む場合は、ヘルパーが居宅介護支援事業者か市町村に連絡する
- 希望の内容に応じて、市町村の生活支援サービスやNPO法人などの住民参加型福祉サービス、ボランティアなどを使うよう助言する
- 説明しても求められた場合、事業者がそのサービスをしなくても指定基準第9条には抵触しない
通知は、保険の範囲外のサービスでも、利用者と事業者の契約に基づき、保険の対象サービスと明確に分けて自己負担で提供することは「当然、可能である」としています。
ヘルパーが断るのは、介護保険の給付として扱えないからです。
世田谷区で、保険の外で頼むときの相談先
世田谷区の公式ページ「隣の家の樹木が私道や私有地にはみ出している」には、自分で剪定するのが難しい場合の頼み先として、次の二つが載っています。
| 頼み先 |
区のページの記載 |
| 一般社団法人世田谷造園協力会(区内の植木業者紹介) |
電話 03-5384-5410。 受付は平日午前9時~午後5時 |
| 公益社団法人世田谷区シルバー人材センター(植木剪定) |
電話 03-3707-0880(植木受付)。 受付は平日午前9時~正午 |
| 公益社団法人世田谷区シルバー人材センター(除草作業) |
電話 03-3426-9211(烏山支部)。 受付は平日午前8時30分~午後5時15分 |
シルバー人材センターが受けるのは「簡易な剪定作業」で、区のページは、枝の剪定は太さ10センチメートルまでの樹木と書いています。
予約から作業までは、下見などの準備で1か月程度かかります。
予約日が25日以降だと、翌々月の対応になる場合もあります。
二つの相談先の違いは、世田谷区は植木の手入れ業者を紹介しているのか。区が案内している二つの相談先にまとめています。
庭のことに限らず、親御さんの暮らし全体の困りごとは、お住まいの地区のあんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)に相談できます。
区のページは、高齢者に関するさまざまな相談を受け、相談の内容に応じて民生委員や医療機関、行政機関などと連携すると説明しています。
窓口の時間は月曜日~土曜日の午前8時30分~午後5時です。
日曜日、祝日、12月29日~1月3日は休みです。
第3土曜日は一部のシステムが使えず、相談業務などが難しい場合があると区のページに書かれています。
住所で担当のセンターが決まります。
すでにケアマネジャーがついている場合は、まずケアマネジャーに「庭の手入れで困っている」と伝えておくと、話が早く進みます。
庭番にご相談いただけること
シルバー人材センターでは扱えない太い枝や、根元から切りたい木があるときは、庭番にご相談ください。
世田谷区を中心に、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付けを請けています。
離れて暮らしていて立ち会いが難しい場合も、下見の日程や、作業前後の写真の送り方をご家族と相談して決めます。
親御さんがいずれ家を空けることになりそうなら、空き家の庭木が伸びたと言われたとき。世田谷区の相談窓口と空家法の管理不全空家等も参考になります。
料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。
ご相談は電話とLINEで受けています。
参考にした資料
この記事は2026年11月時点で読んだ、国立社会保障・人口問題研究所が収録している老振第76号の文面と、世田谷区の公式ページによります。
通知はその後の改正で言葉や扱いが変わっている場合があります。
区の相談先や受付時間も変わることがあります。
実際に頼む前に、担当のケアマネジャーやあんしんすこやかセンター、それぞれの相談先に最新の扱いを確かめてください。