区への届出・許可
空き家の庭木が伸びたと言われたとき。世田谷区の相談窓口と空家法の管理不全空家等
2026-09-13
「親の家が空いたままでして、お隣から木が出てきていると連絡がありました」——このご相談は、たいてい急に始まります。屋根や壁は数年では変わりませんが、木は一年で見た目が変わります。近所の方が気づくのは、そこからです。
最初に言われるのは、たいてい境界の外に出た分
近所からの連絡で多いのは、敷地の外に出たものについてです。枝が隣家の屋根や物干しにかかる。道に張り出して傘が引っかかる。落ち葉が側溝に溜まる。生垣が歩道側に膨らんで、ベビーカーが通りにくい。
このうち道路にはみ出した枝は、近所からではなく区の道路管理者から連絡が来ることがあります。その流れは道路にはみ出した枝は誰が切るのか。世田谷区の道路管理者から連絡が来る流れに書きました。
住んでいれば、こうした変化は自分で気づきます。空き家は気づく人がいません。だから、言われてから知ることになります。
空家法は、庭の木も「空家等」に含めている
空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)は、第2条第1項で「空家等」を、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物等「及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)」と定めています。建物だけの話ではなく、庭に立っている木も、法律上は空き家の一部として扱われます。
この法律は令和5年法律第50号で改正され、令和5年12月13日に施行されました。改正で入ったのが「管理不全空家等」です。法第13条第1項は、適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空家等を、こう呼んでいます。同条第2項は、指導をしてもなお状態が改善されない場合に、「修繕、立木竹の伐採その他」の具体的な措置を勧告できるとしています。条文に立木竹の伐採が並んでいることからも分かるとおり、庭木は制度の想定に入っています。
| 区分 |
法律上の位置づけ |
市区町村がとれる手続き |
| 空家等 |
使われていない状態が常態の建物と、その敷地(立木を含む) |
情報提供、助言その他の援助(法第12条) |
| 管理不全空家等 |
放置すれば特定空家等になるおそれのある状態(法第13条第1項) |
指導 → 勧告(法第13条第1項・第2項) |
| 特定空家等 |
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態等(法第2条第2項) |
助言・指導 → 勧告 → 命令 → 代執行(法第22条) |
税の扱いも変わります。東京都主税局は、特定空家等または管理不全空家等について、「賦課期日(1月1日)までに区からの勧告に対する必要な措置が講じられない家屋の敷地」は、固定資産税・都市計画税の住宅用地に係る課税標準の特例の適用対象から除外される、としています。
ただし、これは勧告まで進んだ場合の話です。順番は指導が先で、改善されないときに勧告、という組み立てになっています。早い段階で手を入れれば、この列には入りません。
世田谷区の相談窓口
せたがや空き家活用ナビは、官民連携による無料の相談窓口です。区のページは「空き家の専門アドバイザーが、中立の立場で、解決までの道筋を提案します。売買や賃貸に限らず、相続関係や解体など、様々な内容についての相談が可能です」と説明しています。
このほか区は、弁護士会・司法書士会・行政書士会・土地家屋調査士会や不動産・建築の団体等とも協定を結んでいて、区のページに13の窓口が並んでいます。相続や名義の話が絡むときは、こちらのほうが早いことがあります。
区の担当は防災街づくり担当部 建築安全課(03-6432-7183)です。どこに聞けばいいか分からない段階なら、お問い合わせセンター「せたがやコール」(03-5432-3333)もあります。受付は年中無休、午前8時から午後9時までです。
区は「せたがや"家"の終活」というガイドブックも配っています。配布場所は建築安全課と各総合支所地域振興課です。まだ何も決まっていない段階で、手元に一冊あると整理しやすい種類の資料です。
遠方に住んでいる場合の頼み方
区外、あるいは県外にお住まいのまま管理している方は多いです。距離があるぶん、決めておく項目は増えます。
まず、現況が分かるものを用意します。庭全体、気になっている木、隣家との境の四方向。近所の方から指摘があったなら、どこがどう出ているかを聞いておくと、話が早く進みます。
次に、立ち会えるかどうかを先に伝えます。立ち会いなしで進める場合は、門扉の鍵をどう受け渡すか、車を停める場所があるか、電気と水道が止まっているか、この四つが実際の作業に効いてきます。作業後の状態は写真で受け取る形にしておくと、行かなくても確認できます。隣家への連絡先の共有も、しておくと後が楽です。
木の太さや高さによっては、切る前に区への届出が必要です。世田谷区では、地上1.5メートルの高さで測った幹周りが80センチ以上の木、または高さ10メートル以上の木が対象になります。幹が細くても、高さが10メートルを超えていれば届出が要ります。条件は世田谷区で庭木を切る前に。幹周り80センチ以上なら伐採届が要りますにまとめました。空き家の庭にある木は、長く手が入っていないぶん、この線を超えていることがあります。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。空き家の庭で、どこまで切ればしばらく落ち着くのか、今回は越境している分だけでよいのか、といったご相談も承ります。遠方にお住まいで立ち会えない場合は、現地を見たうえでご連絡し、作業後の写真をお送りする形でも進められます。料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年9月時点の法令と、国・都・区の公表資料によります。相談窓口の名称や電話番号、ガイドブックの配布場所、税の取扱いは変わることがあります。ご自身の空き家に当てはめる前に、上の各ページで最新の内容をご確認ください。