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区への届出・許可

家を建て替える前に。世田谷区のみどりの計画書と、いまある木の扱い

「建て替えるので、庭の木はいったん全部切ってしまおうと思って」——建て替え前のご相談で、最初に出てくる言葉です。更地にしてから設計を進めるほうが話は早く見えます。ただ世田谷区の場合、その順番でいくと、あとで木を買い直すことになります。

建てるときに、敷地の緑をいく持つかが決まっている

世田谷区は、建築物の新築や増築のときに、その敷地でどれだけ緑を確保するかを区の側で確かめるしくみを持っています。根拠は、みどりの基本条例と都市緑地法、東京都風致地区条例など。

これは家が建ったあとの話ではありません。建築確認申請より前に区へ出すものがあります。設計が固まる前の段階で、庭に何本の木があるかが関わってくる。木を先に切ってしまうと困るのはここです。

区は多摩川河川敷以外の市街化区域全域を緑化地域に指定していて、義務づけられる緑化率は敷地規模と建蔽率に応じてパーセントです(区の4727ページに添付の「みどりの計画書・緑化地域制度概要版」PDF、6月版)。実際に満たすのは概要版の別表「地上部の緑化基準」数値で、国分寺崖線保全重点地区や風致地区区域では適用が異なります。崖線側にお住まいなら国分寺崖線の斜面で庭木を切る前に。世田谷区の崖線地区と、都が指定する区域あわせてご覧ください。

敷地の広さで、手続きが分かれる

区分は敷地の面積で切られています。

敷地の面積 出すもの
150平方メートル未満 届出不要(「緑化の誘導基準」いう目安はある)
150平方メートル以上250平方メートル未満(風致地区等を除く) みどりの計画書兼みどりの計画確認書
250平方メートル以上、風致地区等 みどりの計画書兼緑化率適合証明申請書

面積が小さければ何もない、とは言い切れません。区は「風致地区内での建築行為は、面積によらず『みどりの計画書』届出対象となる場合があります」注記しています。成城・岡本・瀬田など多摩川風致地区なら、250平方メートル未満でも申請書の側になることがあります成城・岡本・瀬田で庭木を切るときは、区の許可が要ります(多摩川風致地区))。

出す時期は建築確認申請の前。提出先は計画地を管轄する総合支所の街づくり課です。増築は床面積の合計が1.2倍を超えなければ不要ですが、基準日が区分で違います平方メートルは平成4月250平方メートル以上は平成10月)。

いま生えている木は、そのまま本数に数えられる

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

風致地区を除く150平方メートル以上250平方メートル未満の敷地では、緑化の基準が「中木の本数」示されます。区の定義は、植栽時の高さ(既存樹木は現状の高さ)1メートル以上2.5メートル未満の樹木(1メートル未満または2.5メートル以上の樹木も換算できます)。

括弧のなかを二つとも読んでください。既存樹木は現状の高さで測る。1メートル未満の低い木も、2.5メートルを超える大きな木も換算できる。いま庭に立っている木が1メートル以上2.5メートル未満なら、そのまま中木です。範囲から外れる木も数から落ちるわけではなく、「基準の高さに合わないから切る」いう判断にはなりません。

必要な本数は、敷地面積と建ぺい率の組み合わせで決まります(平成4月以降に着工する建築物が対象)。

敷地面積 建ぺい率30%以下〜50%
平方メートル未満 中木 中木 中木
平方メートル未満 中木 中木 中木

たとえば敷地180平方メートル、建ぺい率60パーセントなら中木高さ1.5メートルほどの木が残っていれば、そこは埋まっている計算です。150平方メートル未満の敷地にも、区は同じ形の誘導基準を目安として示しています。

250平方メートル以上は、本数ではなく面積から入る

250平方メートル以上では、地上部緑化・樹木本数・接道部緑化が対象になります。地上部は敷地の面積に地上部緑化率を掛けた面積以上。本数は、そこから水流・池・園路などを引いた「樹木本数基準面積」係数(高木0.02、準高木0.03、中木0.25、低木0.90)掛けて出します。現状の高さで測る考え方は同じなので、4メートルを超える木は高木として効いてきます。

切ってから考えると、買い直すことになる

更地にしてから区に相談すると、数えられる木がゼロからの出発です。必要な本数や面積を新しく植えることになり、木の代金と、植える手間と、植えたあとの水やりが増えます。

もう一つ。世田谷区では、地上1.5メートルでの幹回り80センチメートル以上、または高さ10メートル以上の樹木を切るとき、伐採そのものの届出が要ります世田谷区で庭木を切る前に。幹周り80センチ以上なら伐採届が要ります)。ただし概要版には「みどりの計画書で届出たものについては、必要ありません」あり、二重には出しません。保存樹木・保存樹林地の木は手続きが別で、世田谷区の保存樹木・保存樹林地に指定された木は切れるのか。伐採等届と指定解除の流れに、全体像は世田谷区で庭木を伐採するには。届出・許可・費用・段取りのまとめまとめました。

順番としては、庭の木を高さと幹回りを測って一覧にし、敷地の面積区分に当てはめ、残せる木と支障になる木を分ける。ここまで整理してから街づくり課に相談する。工事車両の通り道や基礎にかかる木は残せません。それは仕方がない。ただ、敷地の端で邪魔にならない木まで切る必要はありません。設計者に「この木は緑化の本数に数えたい」伝えておくと、配置を寄せてもらえます。

お、区の接道部緑化や樹木移植の助成は「工事発注・資材購入前に事前相談・申請が必要」概要版にあります。順番を間違えると対象外です。詳しくは世田谷区の緑化助成は、工事を頼む前に申請します。順番と対象外の条件へ。

建てたあとも、緑化率は保つ

緑化地域制度が適用された建築物は、将来的にも基準以上の緑化率を維持することが都市緑地法により義務付けられている、と区は書いています。枯れたり敷地の使い方を変えたりして基準を下回れば、植え直しなどで適法化することになる。木が育ちすぎたときに切っていいのかは、緑化率で植えた木が育ちすぎた。切ってしまっていいのか(世田谷区)書きました。

庭番にご相談いただけること

庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。

建て替えの前でしたら、どの木を切るか決める前にお声がけください。工事にかかる木と残せる木の見分け、残す木の養生、切った木の処分、植え直しの植栽。手続きそのものは区の窓口と設計者の領域なので代行しません。ご相談は電話とLINEで。庭の全景、残したい木の足元、道路から庭までの通り道。この三枚の写真があると話が早くなります。

参考にした資料

この記事は9月時点の区の公表資料によります。区分や基準、窓口は変わることがあります。着手前に、計画地を管轄する総合支所の街づくり課でご確認ください。

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