区への届出・許可
世田谷区で切り株を掘り起こす前に。遺跡の範囲なら工事60日前までに届出
2026-10-27
「庭の切り株を重機で掘り起こしたいのですが、うちのあたりは昔の遺跡があると聞いたことがあります。
何か届けが要るのでしょうか」。
抜根のご相談で、ときどきこう聞かれます。
世田谷区には遺跡が多くあります。
その範囲で土を掘る工事をするときは、文化財保護法にもとづく届出が要ります。
区のページをもとに、自宅が範囲に入っているかの調べ方、届出の期限と流れ、抜根が届出の対象になるかの確かめ方を順に書きます。
世田谷区には300か所以上の遺跡がある
区の「埋蔵文化財保護のための届出について」によると、世田谷区には「令和5年3月現在で300か所以上の遺跡(集落跡、古墳、城跡など)」があります。
文化財保護法は、こうした場所を「周知の埋蔵文化財包蔵地」と定め、保存・保護を図っています。
区は「『周知の埋蔵文化財包蔵地』で土木・建築工事を実施する場合は、文化財保護法に基づく届出が義務付けられています」としています。
遺跡といっても、地上に何かが見えているとは限りません。
住宅が建ち並ぶ場所の地下にあることもあります。
見た目では分からないので、地図で確かめることになります。
区のページは、届出が要る場面として次の三つを挙げています。
- 周知の埋蔵文化財包蔵地内で土木・建築工事等を実施する場合
- 周知の埋蔵文化財包蔵地内で、かつ指定文化財(史跡や旧跡等)の範囲内で工事を実施する場合
- 工事中に埋蔵文化財を発見した場合
包蔵地の外でも、土地面積2,000平方メートルを超える大規模な開発は相談するよう書かれています。
一般の住宅の庭で関わるのは、主に一つめと三つめです。
自宅が包蔵地に入っているかの調べ方
区は、工事をする場所が包蔵地や指定文化財に当たるかどうかを「せたがやiMap(世田谷区電子地図情報配信サービス)」で確かめられる、としています。
せたがやiMapは区の電子地図で、「世田谷区内埋蔵文化財包蔵地情報」が公開されています。
iMapで見るときに気をつけたい点が、区の「埋蔵文化財に関するよくある質問」に載っています。
iMapには「現状変更届:要」「現状変更届:不要」という表示が出ます。
これは指定文化財(史跡・旧跡等)の手続きが要るかどうかの表示です。
区は、「不要」と出ても「遺跡情報が載っている場合、『埋蔵文化財発掘の届出』提出は必要です」と答えています。
「不要」の文字だけを見て、届出も要らないと思わないようにしてください。
| iMapの表示 |
区の説明 |
| 現状変更届:要 |
指定文化財の「現状変更許可申請」が要る。 遺跡情報があれば発掘の届出も要る |
| 現状変更届:不要 |
現状変更許可申請は要らない。 遺跡情報があれば発掘の届出は要る |
地図の読み方に自信がないときは、区に直接聞くこともできます。
区は「窓口・電話・FAXでの照会も受け付けております」としています。
照会先は生涯学習課文化財係です。
- 所在地: 世田谷区弦巻3-16-8 世田谷区教育会館3階
- 電話: 03-3429-4264
- ファクシミリ: 03-3429-4267
区のページには、FAXで相談するときの「FAX相談受付カード」も載っています。
包蔵地内なら、着工60日前までに届出
計画地が包蔵地に当たる場合、区は「工事着工60日前までに『埋蔵文化財発掘の届出』の区窓口への提出が必要です(文化財保護法第93条第1項に基づく)」としています。
提出先は、上に書いた生涯学習課文化財係の窓口です。
区のページにある提出書類は次のとおりです。
各1部を用意します。
- 受付書
- 埋蔵文化財発掘の届出(押印必須)
- 承諾書(押印必須。
届出者と土地所有者が異なる場合のみ)
- 委任状(押印必須。
都からの通知を届出に書かれた人以外に送りたい場合のみ)
- 図面(現地案内図、建物等配置図、基礎伏図、基礎断面図、地盤改良図面等)
よくある質問には、手続きのうえで知っておきたい答えがいくつか載っています。
届出は郵送では出せず、原則として窓口で提出します。
書類が揃っていないと受け付けてもらえません。
届出が要ると工事の直前に知った場合は、速やかに文化財係へ連絡し、届出を出すよう書かれています。
届出のあとは、区の専門職員が内容を確かめ、必要な事前調査を決めます。
| 調査 |
区のページにある内容 |
| 立会調査 |
遺跡への影響が少ないと判断された場合。 掘る工事のときに専門職員が立ち会い、土の層や土器・石器の有無を確かめる |
| 試掘調査 |
遺跡が壊れる可能性があると判断された場合。 着工前に試しに掘って確かめる。 住宅程度の敷地なら1日から2日、広い場合や天候によっては1週間程度 |
| 発掘調査 |
試掘で遺跡が確かめられ、そのまま残すのが難しい場合。 工事の前に記録のための調査をする |
区は、立会調査と試掘調査は原則として公費負担としています。
状況によっては重機の提供などを頼むことがある、とも書いています。
発掘調査の経費は、原則として工事をする側の負担です(区は「原因者負担制」と呼んでいます)。
抜根や庭の掘削が「土木工事」に当たるか
区のページは、届出の対象を「土木・建築工事等」と書いています。
よくある質問では、包蔵地の範囲で「掘削行為を行う場合に『埋蔵文化財発掘の届出』が必要」とも説明しています。
一方で、切り株の抜根や庭の掘り起こしが対象になるかどうかは、区のページに具体的には書かれていません。
ですから、抜根や庭の掘削が届出の対象になるかは、自分で判断せず、文化財係に照会して決めてください。
照会のときに伝えると話が早いのは、次のような点です。
- 場所(住所と、敷地のなかのどのあたりか)
- 何をするか(切り株を抜く、根を掘り取る、庭を掘って整地する、など)
- 掘る範囲と深さのおおよそ
- 手作業か、バックホウなどの重機を使うか
- 予定している時期
照会してから届出が要ると分かった場合、着工の60日前までという期限がかかります。
抜根の日取りを先に決めてしまうと、間に合わなくなることがあります。
包蔵地かもしれないと思ったら、業者に日程を頼む前に照会を済ませておくと安心です。
抜根そのものを急ぐ必要がないなら、地上部だけ先に切って、切り株は後に回す方法もあります。
残す・枯らす・抜くの考え方は 切り株は抜いたほうがいいのか。残す・枯らす・抜くの分かれ目(世田谷区) にまとめています。
工事中に土器などが出てきたら
包蔵地の範囲の外でも、掘っているうちに土器や石器が出てくることはありえます。
区は、包蔵地の範囲外で工事中に埋蔵文化財を見つけた場合、「埋蔵文化財発見届」の提出が義務付けられている、としています(文化財保護法第96条第1項に基づく)。
区のページによると、工事中に土器や石器などを見つけたときは、土地の所有者・占有者が「現状を変更することなく、速やかに」文化財係へ連絡します。
出てきた物を掘り出したり持ち帰ったりせず、その場を動かさないで連絡する、ということです。
なお、自宅の場所が国・都・区の史跡や旧跡の指定範囲に入っている場合は、発掘の届出の前に「指定文化財の現状変更許可申請」をして、許可を受ける必要があります(文化財保護法第125条第1項等に基づく)。
区のページには主な指定文化財として、世田谷城跡(豪徳寺2丁目、梅丘2丁目)、野毛大塚古墳(野毛1丁目)、御岳山古墳(等々力1丁目)、第六天塚古墳(喜多見4丁目)、奥沢城跡(奥沢7丁目)が挙がっています。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。
抜根の下見では、どこをどのくらい掘ることになりそうか、手作業か重機を使うかを一緒に確かめられます。
その内容を区への照会に使っていただけます。
照会の結果や届出の要否が分かってから、作業の日取りを決めることもできます。
抜根の費用や日数が変わる条件は 世田谷区で切り株の抜根を頼むとき。費用と日数が変わる四つの条件 に書いています。
料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。
ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年10月時点の世田谷区の公表資料によります。
区の案内や窓口、届出の書類は変わることがあります。
工事や相談の前に、区の最新のページを確かめてください。