区への届出・許可
成城や経堂の特別緑地保全地区では、木を切るのに区長の許可が要ります(世田谷区)
2026-10-28
「うちの土地の一部が特別緑地保全地区に入っていると聞きました。
伸びすぎた木を切りたいのですが、勝手に切ってはいけないのでしょうか」。
成城や北烏山のあたりで、こうしたご相談を受けることがあります。
特別緑地保全地区は、都市緑地法にもとづいて都市計画で定める地区です。
地区のなかで木や竹を切るには、区長の許可が要ります。
区と東京都のページ、法律の条文をもとに、区内の6か所、許可が要る行為と要らない場合、税の減免との関係を順に書きます。
世田谷区内の特別緑地保全地区は6か所
区の「特別緑地保全地区」のページは、この制度を「都市に残された緑地を都市計画に特別緑地保全地区として指定することにより、その地区内における建築行為などを制限し保全していく制度」と説明しています。
区内で指定されているのは次の6か所です。
| 地区名 |
所在地 |
面積 |
決定年月日 |
| 成城みつ池 |
成城四丁目地内 |
約2.0ヘクタール |
当初 昭和53年3月8日(最終 平成4年7月13日) |
| 経堂五丁目 |
経堂五丁目地内 |
約0.24ヘクタール |
平成24年5月23日 |
| 烏山弁天池 |
北烏山四丁目地内 |
約0.36ヘクタール |
平成24年8月17日 |
| 成城三丁目崖(はけ)の林 |
成城三丁目地内 |
約0.06ヘクタール |
平成25年11月21日 |
| 北烏山九丁目屋敷林 |
北烏山九丁目地内 |
約0.26ヘクタール |
平成26年11月18日 |
| 成城四丁目十一山 |
成城四丁目地内 |
約0.08ヘクタール |
平成28年12月2日 |
区のページによると、指定されるのは次のいずれかに当たる緑地のうち、特に保全が必要なものです。
- 無秩序な市街化の防止、公害や災害の防止などのための遮断地帯・緩衝地帯・避難地帯として適切な位置や規模を持つもの
- 神社・寺院などの建築物や遺跡と一体になっている、または伝承や風俗習慣と結びついて、その地域で伝統的・文化的な意義を持つもの
- 風致や景観が優れている、または動植物の生息地・生育地として保全が要るもので、地域の住民の健全な生活環境を確保するために必要なもの
地区名に町名が付いていても、その町全体が対象ではありません。
区の表記は「成城四丁目地内」のように、町のなかの一部の区域です。
自分の土地が線の内側か外側かは、地名だけでは判断できません。
はっきりしないときは、後に書く区の担当課に地番を伝えて確かめてください。
木竹の伐採は都市緑地法14条の許可制
都市緑地法第14条第1項は、特別緑地保全地区のなかで次の行為をするには「都道府県知事等の許可を受けなければ、してはならない」と定めています。
- 建築物その他の工作物の新築、改築または増築
- 宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更
- 木竹の伐採
- 水面の埋立てまたは干拓
- そのほか、緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの
世田谷区内では、この許可を出すのは区長です。
区のページは「以下の行為を行う場合、区長の許可が必要です」として同じ5つを挙げ、そのなかに「木竹の伐採」があります。
許可が下りるとは限りません。
第14条第2項は、申請された行為が「緑地の保全上支障があると認めるときは、同項の許可をしてはならない」としています。
第3項では、許可に期限などの条件を付けられることも定めています。
切り株を掘り起こす抜根は、木の伐採に加えて土を掘る作業になります。
第2号の「土地の形質の変更」に当たるかどうかは、条文だけでは決まりません。
伐採と抜根を両方考えているときは、それも含めて区に伝えて相談してください。
許可が要らない場合と、あとで届け出る場合
第14条第1項にはただし書きがあります。
次のような行為は許可の対象から外れます。
ただし、その代わりに通知や届出が要るものがあります。
| 場合 |
条文での扱い |
| 非常災害のための応急措置 |
許可は要らない。 行為をした日から14日以内に届出(第6項) |
| 都市計画が決まったときにすでに着手していた行為 |
許可は要らない。 決まった日から30日以内に届出(第5項) |
| 公益性が特に高い事業のうち政令で定めるもの |
許可は要らない。 あらかじめ通知(第4項) |
| 通常の管理行為、軽易な行為などで政令で定めるもの |
第1項から第7項までを適用しない(第9項第7号) |
台風で倒れかけた木を急いで処理した、という場面は、一つめの「非常災害のため必要な応急措置」に当たりうる例です。
その場合でも、14日以内の届出は残ります。
最後の「通常の管理行為、軽易な行為」に何が入るかは、政令が決めています。
枝先を整える剪定がこれに当たるかどうかは、この記事の範囲では確かめられていません。
剪定だけのつもりでも、作業の前に区に聞いておくのが確実です。
税の減免を受ける代わりに、行為が制限される
区のページは、地区内の土地所有者について「建築行為や木竹伐採が厳しく制限され、将来にわたって緑地を保全していく必要があるため、相続税や固定資産税等、税制上の減免措置を受けることができます」と書いています。
制限と減免は、ひとつの仕組みの表と裏です。
東京都都市整備局のページは、減免の大きさを次のように示しています。
- 相続税: 最大で8割の評価減
- 固定資産税: 最大1/2まで減免(現地の状況により変わる)
都のページには、行為の制限で土地の利用に著しい支障が出る場合、土地所有者が区や市に土地の買入れを申し出られる、とも書かれています。
そのときは譲渡所得から2,000万円が控除され、所得税が減額されるとしています。
法律では第17条が買入れを定めていて、価額は「時価によるもの」とされています。
許可を受けられなかったために損失を受けた人については、第16条が損失補償の規定を準用しています。
あなたの土地がどの減免を受けているか、買入れや補償の対象になりうるかは、個別の事情によります。
税は税務署や都税事務所、制度の運用は区の担当課に確かめてください。
特別保護区・保存樹木など、区の別の制度との関係
区の「みどりを守るための保全地区や協定など」のページは、特別緑地保全地区のほかに、特別保護区、保存樹木・保存樹林地、市民緑地、緑地協定などを別々の制度として紹介しています。
特別保護区は、区が「樹林地や水辺地、動物生息地が一体となった土地で、特に保全する必要がある民有地」として指定しているものです。
4か所の一覧には「烏山弁天池特別保護区」と「経堂五丁目特別保護区」があり、特別緑地保全地区と同じ名前の場所が並んでいます。
ひとつの土地に複数の制度の名前が付いていることがある、ということです。
ひとつの手続きを済ませても、別の制度の手続きが要らなくなるとは限りません。
保存樹木・保存樹林地に指定された木の手続きは世田谷区の保存樹木・保存樹林地に指定された木は切れるのか。伐採等届と指定解除の流れに書いています。
成城・岡本・瀬田などの多摩川風致地区の許可は成城・岡本・瀬田で庭木を切るときは、区の許可が要ります(多摩川風致地区)にまとめています。
自分の土地にどの制度がかかっているかは、区に聞くときにまとめて確かめると手間が減ります。
区内の特別緑地保全地区の担当は次のとおりです。
- 担当: みどり33推進担当部 みどり政策課
- 電話: 03-6432-7904
- ファクシミリ: 03-6432-7989
地区の隣に住んでいる方へ。
第14条の許可は「特別緑地保全地区内において」の行為についての決まりです。
ただし、境界の近くの木がどちら側に立っているかは、見た目では分かりにくいことがあります。
切る前に区に確かめておくと安心です。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。
下見で、切りたい木の本数、場所、幹の太さ、切り株を抜くかどうかを一緒に整理できます。
その内容を区への相談や申請の準備に使っていただけます。
許可が出るか、手続きが要らないと分かってから作業の日取りを決めることもできます。
料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。
ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年10月時点の世田谷区と東京都の公表資料、都市緑地法の条文によります。
地区の指定や区の案内、窓口、税の扱いは変わることがあります。
作業や相談の前に、区の最新のページを確かめてください。