ご近所と法律
チェーンソーの音が出る時間帯。東京都の騒音の基準と、世田谷区での近所への伝え方
2026-09-08
「朝からやるとして、何時なら始めていいんですか」——下見でよく出る質問です。木を切ること自体より、音でご近所に何か言われないかのほうを気にされている。そういう方は少なくありません。
先に結論を書くと、「庭木を切っていい時間」という一本の決まりが東京都や世田谷区にあるわけではありません。時間帯ごとの基準はありますが、それは隣地との境界で出してよい音量の上限を定めたもので、「この時間なら音を出していい」という許可ではありません。エンジンのチェーンソーの音は、境界でその数値を大きく超えます。だから以下は、基準を満たすための答えではなく、苦情を出さないための段取りとして読んでください。
何時までなら出していい、ではなく、時間帯ごとに上限が変わる
東京都の環境確保条例(都民の健康と安全を確保する環境に関する条例)は、日常生活等における騒音の規制基準を第136条の別表13で定めています。区域の種別と時間帯で数字が変わる仕組みです。測るのは「音源の存する敷地と隣地との境界線における音量」。つまり、切っている場所ではなく、お隣との境目の値です。
| 時間帯 |
第1種区域 |
第2種区域 |
| 6時〜8時 |
40デシベル |
45デシベル |
| 8時〜19時 |
45デシベル |
50デシベル |
| 19時〜23時 |
40デシベル |
45デシベル |
| 23時〜6時 |
40デシベル |
45デシベル |
第1種区域には第1種低層住居専用地域が含まれます。緩むのは8時から19時の帯だけで、そこが5デシベル上がる。朝も夜も深夜も同じ値です。第3種・第4種区域は時間の区切りかた自体が違い、昼の帯が20時までになります。
繰り返しますが、この数字は上限値です。「8時を過ぎたから条例上は問題ない」ではありません。エンジンを使う作業なら、どの帯でも境界での音量はこの上限を超えると考えておいたほうが実態に近い。時間の選びかたは、基準をクリアするためではなく、近隣の生活時間とぶつからないようにするための判断です。
ご自宅がどの区域に当たるかは用途地域から見ます。世田谷区は「せたがやiMap」で都市計画情報を公開していて、そこで確認できます。なお、この基準は工場・事業場、建設作業など個別に基準が定められた事項には適用されません。庭木の作業がどの枠で見られるかは個別の判断になるので、気になるときは世田谷区の環境保全課(03-6432-7137)に聞くのが早いです。
チェーンソーは特定建設作業の一覧に出てこない。抜根で重機を入れるときは別
騒音規制法・振動規制法には「特定建設作業」という枠があり、該当すると届出が必要になります。世田谷区が挙げている対象は、くい打ち機、さく岩機、掘削機、空気圧縮機、プラント類、舗装版破砕機など。どれも出力や容量の条件付きです。
一覧にチェーンソーはありません。木を伐り倒す、枝を落とす、剪定する——手道具とチェーンソーで完結する作業なら、この届出の話にはならないのが通常です。
ただし抜根は別に考える必要があります。根を掘り起こすのに掘削機を入れる場合、その機械が上の掘削機の項に当たれば、特定建設作業になりえます。バックホウなら出力80キロワット以上、かつ低騒音型の指定を受けていない機種、という線です。該当すれば、区は「作業の7日前までに施工者が届出する義務」があるとしています。重機を入れる段になったら、機種の出力と低騒音型指定の有無を施工者に確認してください。抜くか残すかの判断そのものは切り株は抜いたほうがいいのか。残す・枯らす・抜くの分かれ目(世田谷区)に書きました。
この枠の数字は、届出の要否にかかわらず目安として使えます。特定建設作業の規制基準は、敷地境界で騒音85デシベル・振動75デシベル、作業時間は午前7時から午後7時、1日の延べ作業時間は10時間以内、同一場所で連続6日以内、日曜日・休日の作業は禁止。庭の作業もこの時間割に合わせておくと、ご近所の感覚とずれません。庭番は7時台には音を出さず、8時台に始めて、遅くとも17時までに音の出る工程を終える形を基本にしています。日曜と祝日は音の出る作業を入れません。
音が出るのは、一日のうちの一部だけ
一日中チェーンソーが鳴り続けると思われている方が多いのですが、実際は違います。エンジンの音が出るのは、幹や太い枝を切っている最中だけです。その一回一回は数十秒から数分で、あいだに枝を下ろしたり、ロープをかけ直したり、切った枝を運んだりする時間が挟まります。音が連続して出ている時間は、作業時間全体の一部です。
ご近所に届きやすいのは、エンジンの音と、切った幹が地面に落ちる音です。剪定だけならエンジンを使わないこともあります。手鋏と鋸で足りる木は、それで切ったほうが仕上がりも早い。切る時期の選びかたは世田谷区で庭木を切る時期。落葉樹は冬、常緑樹は春が基本で、急ぐときは別にまとめました。
前もって伝えておく範囲
世田谷区は、生活型の近隣公害について「行政が一律に規制していくだけでは解決は難しく、当事者間の話し合いによって解決していくことが望まれます」と書いています。苦情が出てからではなく、出る前に話しておく。そこは区の考え方とも合っています。
伝える先は、音と車の両方から決めます。
- 両隣、向かい、裏。ここは音が直接届きます
- 作業車を停める場所の前後の家。出入りと積み込みの音があります
- 木が道路や私道に面しているなら、その道を使う世帯
- 集合住宅が接しているなら、管理会社か管理人
伝える内容は四つで足ります。作業する日。おおよその時間帯。音の出る工程がどのくらい続くか。車をどこに停めるか。「明日8時半ごろから庭の木を切ります。うるさいのは昼くらいまで、車は門の前に一台停めます」。この程度で構いません。
時期は、前日ではなく数日前がよいです。洗濯物や在宅勤務の予定を動かせる余地が残ります。ご不在が続く家には、同じ内容を書いた紙を投函しておく。雨でずれることもあるので、「延びたら改めてお知らせします」と一言添えると、あとが楽です。作業の日と時間帯は下見で決めてしまうのが確実で、何を決めておくかは伐採の追加料金を防ぐには。下見で伝えることと、見積書に書いてもらう範囲に書きました。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。
音を気にされている場合は、下見のときにそう言ってください。音の出る工程を一日に寄せる、平日の午前だけで終える、エンジンを使う本数を減らす。段取りの側で調整できることはあります。ご相談は電話とLINEで。料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。
参考にした資料
この記事は2026年9月時点の都と区の公表資料によります。基準値や区域の指定、窓口は変わることがあります。実際の作業前に、世田谷区の環境保全課でご確認ください。