手入れと処分
世田谷区で庭の竹を減らすには。地上部を切るだけでは戻る理由と地下茎の止め方
2026-09-10
「去年、根元から全部切ったんです。それなのに、今年また出てきて」——竹のご相談は、たいていこの言い方で始まります。切っていないわけではない。ただ、竹に関しては、切ったのに戻ってくるほうが普通の反応です。
切っているのは、竹の一部でしかない
林野庁の「竹の利活用推進に向けて」は、竹を常緑性の多年生植物とし、毎年、地下茎の節にある芽から新しい竹を発生させて数か月で成竹になる、と説明しています。地面から上に立っている稈(かん)は地下茎から出た一年分のようなもので、本体は地中にあります。同資料も「竹は地下茎に栄養分を蓄えているため、地上に出ている部分を伐採した後でも新竹が生えてくる」と書いています。
切った直後の庭がすっきりして見えるのは、本体を残したまま上だけ更新をかけた状態です。太い竹を出す力は、地下茎にどれだけ養分が溜まっているかで決まる。ここが、後の話につながります。
地下茎は、横に速い
林野庁の資料は、地下茎の伸長を「1年間で2~3m程度、最大では7~8mにも達するという報告がある」としています。深さのほうは、国土交通省信濃川下流河川事務所の堤防維持管理工事で施工会社(小柳建設株式会社)が行った竹林駆除の試験施工報告に、試掘した一区画の数字が残っています。三条市今井地内の旧堤川裏法面、直径一センチ程度の細い竹が密集していた場所で、地下茎の生育深さは地表から二十〜四十センチ。ひとつの現場の細い竹の値なので、庭の孟宗竹に当てはまる保証はありません。
一方、横に年数メートルという速さは、竹の性質として書かれているものです。隣との境から三メートル離れていても、一年で境界に届き、二年目には向こう側です。「気づいたら隣にも出ていた」は、放っておいた期間が長かったからというより、竹の速さがそもそもそういう速さだということです。
初回をいつ切るか。効いているのは二年の追い刈り
国土交通省の大分河川国道事務所が、河川敷のマダケ林で伐採時期を変えて比較した報告があります。ここが、庭の竹にもいちばん効く部分です。
冬(二月)に初回伐採をした区画では、六か月後の八月に親竹と再生竹が密生し、伐採前の八倍程度まで増えました。ただしその後、約二年かけて夏(八月)と秋(十月、十一月)に二回ずつ追加の刈り取りを行ったところ、初回伐採から一年九か月で再生竹が確認されなくなっています。一方、夏(八月)に初回伐採をした区画は二か月後の本数が五分の一程度にとどまりましたが、一回目の追加刈り取りを冬に行ったため翌夏の再生竹を抑えきれず、駆除には至らなかったと報告されています。
報告の推奨は、初回伐採は夏季(七〜八月)がベスト、「出水期の制限により難しい場合は冬季でも可」、追加の刈り取りは夏季と秋季(七月、九〜十一月)の二回を二年間程度、という形です。並べておきたいのは、実際に駆除まで確認されたのは冬に初回伐採をした区画のほうだということ。分かれ目は初回の時期ではなく、追加の刈り取りを夏と秋に当てたかどうかでした。
理屈は単純で、竹が葉を広げて養分を地下茎に送り込む時期に、その葉を落とし続ける。林野庁の資料も、再生竹は小さいものが多い一方「葉の量は多く光合成によって栄養を地下茎に蓄える能力は高い」として、数年間は伐採を続ける対応が要るとしています。
なので、秋や冬に「もう切ってしまいたい」となったときに、夏まで待つ理由はありません。切ったあと、次の夏と秋に刈り取りを当てられるかどうかで決まります。細い再生竹を「これは竹のうちに入らない」と残すのが、いちばん惜しい残し方です。
隣との境を越えているとき
民法第233条は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、まず所有者に切除させることができるとし、催告しても相当の期間内に切除しないときなどは自分で切り取れると定めています。根については第4項が「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」とだけ書いていて、催告の手順は置かれていません。詳しい経緯は隣の家からはみ出した枝は切っていいのか。2023年4月の民法改正で変わったことに書きました。
ただ、竹の場合は条文を確認するだけでは終わりません。地中で切っても、その先の地下茎は隣地側で生きています。掘る話になれば、こちらだけで決められることではなくなる。境界の手前で止める話を先に相手方と共有しておくほうが早いです。隣が発生源のときは、隣の空き地の草木が伸びてきたとき。世田谷区の環境美化等に関する条例と相談の順番の順番が近い形になります。
遮断するか、掘り取るか
境で止める方法として使われるのが、地中に板を立てて地下茎を横へ通さないやり方です。先ほどの試験施工では、波板を対象範囲の全周を囲むように設置し、深さを「地下茎の現存深さの2倍(約80㎝深)」としています。
ただし、この報告のなかで波板は単独の工法ではありません。検証していたのは、生育を強制的に抑制し続ければやがて地下茎は死滅するのかという理論で、波板は地中の横方向を止めるぶんの手当て。地上部の抑え(防草シートとコンクリート、または防草シートをアンカーピンで押さえる)とセットです。そして報告自身が「観察期間が短かったこともあり十分な観察資料を得ることが出来なかった。その為、現段階において結論を出すことは難しい」としています。境に板を入れるのはこの試験施工が採った形ではありますが、効果の確かめられた方法として読まないほうがいい。
掘り取りのほうは、大分の報告が、重機で地下茎をすき取る方法でも完全には除去しきれず、残った地下茎から「3~5年後には伐採前とほぼ同様の竹林が形成される」と書いています。
| やり方 |
効くところ |
残る手間 |
| 地上部を切るだけ |
その年の見た目 |
翌年また出る |
| 夏か冬の伐採+二年の追い刈り |
地下茎の養分を減らす |
年二回、二年通う |
| 地中に板を立てて遮断 |
試験施工で採られた形。効果はまだ確認されていない |
全周を切れ目なく囲み、地上部の抑えもいる |
| 掘り取り |
掘った範囲 |
取り残しから再生する。庭では重機が入らないことが多い |
掘る深さは掘ってみるまで分かりませんし、塀・建物・給排水管が近い庭では全周を掘れる場所のほうが少ない。掘れる範囲は掘り、境には板を入れ、上は二年切り続ける。資料で駆除まで確認されているのは追い刈りのほうなので、本体はそちらだと見ておくほうがいい。
切った竹を、世田谷区でどう出すか
世田谷区の「資源・ごみの分別(50音順)」には、「木の枝(太さ10センチメートル、長さ50センチメートル以下)、木くず」が可燃ごみとして載っていて、同じ欄に「多量の場合には、清掃事務所へ相談ください」とあります。竹そのものの項目はこの一覧には見当たらず、区は分からないときは清掃事務所に相談するよう案内しています。庭一面の竹を切った量は、木の枝であっても多量にあたります。
竹は中が空洞で、束にすると量が読みにくく、切ってから置き場に困ります。家庭から出す場合の束ね方は世田谷区で剪定した枝や草の出し方。太さ10センチ・長さ50センチまでと束ね方の決まりにまとめました。業者が引き取った分は家庭から出たごみではなくなり、事業者の責任で処理する扱いになります。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。竹は、一度で終わらせる作業として見積もると、だいたい合いません。初回に地上部を落とし、翌年以降の追い刈りをどう続けるか、境をどこで止めるかまで含めて、下見のときに一緒に考えます。料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年9月時点の国と区の公表資料によります。ごみの分別や相談先は変わることがあります。竹を多めに出すときの扱いは管轄の清掃事務所で、境界を越える竹の扱いで隣地の方と話がつかないときは法律相談の窓口でご確認ください。