費用と業者えらび
一社だけ極端に安い見積りを見たとき。世田谷区で確かめる処分費と枝の行き先
2026-09-12
「三社に見てもらったんですが、一社だけ半分くらいでして」——この形のご相談は、わりとよくあります。安いほうを選びたい気持ちと、何か落とし穴があるのではという気持ちが、半分ずつ残っている状態です。
差が大きいとき、見るところは決まっています。金額そのものではなく、金額の中に何が入っているかです。
安いことには、たいてい理由がある
同じ日に近所で別の作業が入っている。運ぶ距離が短い。処分先が近い。手元にある機械で足りる。繁忙期を外している。こうした事情で金額が下がることは珍しくありません。安い見積りが出たこと自体は、それだけでは何の判断材料にもなりません。
問題になるのは、その差が「同じ作業を安くやる」から来ているのか、「入っていないものがある」から来ているのかです。確かめる先は三つ。処分費が含まれているか。切った枝をどこへ持っていくか。作業がどこまでか。
処分費が別になっていないか
伐採や剪定の見積りは、切る作業の費用と、出たものを運んで処分する費用が、別の行になることがあります。「伐採一式」とだけ書かれていて、処分は当日に別途、という形もあります。切る費用と処分費が別になる理由は伐採の見積書はどこを見るか。切る費用と処分費が別になる理由(世田谷区)に書きました。
安い見積りを見たときにまず聞くのは、この一行が含まれているかどうかです。含まれていなければ、そのぶん安いのは当然ということになります。含まれていないこと自体は悪いことではありません。知らずに決めてしまうことが困るだけです。
「枝はご自宅のごみの日に出していただければ」と言われることもあります。ここは、誰が切った枝なのかで話が分かれます。
ご自分で切って出す分は、家庭ごみです。世田谷区の決まりに沿って、太さと長さと束ね方を揃えれば出せます。条件は世田谷区で剪定した枝や草の出し方。太さ10センチ・長さ50センチまでと束ね方の決まりにまとめました。太い幹や、庭一面分の枝葉が、この枠に収まるかどうかは、切る前に見当をつけておいたほうが安全です。量が多ければ、手間はそのまま自分に戻ってきます。
業者が切って出た枝は、これとは別の扱いになります。東京都環境局の「建設廃棄物とは」は、木くずの具体例として「伐根・伐採材、木造解体材等」を挙げ、工事に伴って発生する廃棄物については「元請事業者が廃棄物処理法における排出事業者として処理責任を負う」としています。業者が切った分を家庭ごみの日に出す前提で金額が下がっているなら、そこは確かめておいたほうがいい箇所です。
区の扱いも家庭ごみとは別です。世田谷区は「事業系の資源・ごみは、事業者の責任で処理するのが原則です」として、区の許可を受けた一般廃棄物処理業者や、都の許可を受けた産業廃棄物処理業者への委託を案内しています。区の収集を使える枠もありますが、これは区内の事業所が自分の事業所から出す少量の資源・ごみについての話で、造園の作業でお宅の庭から出た木くずを業者がこの枠で出せるとは、区のページには書かれていません。
切った枝が、このあとどこへ行くか
廃棄物処理法第3条第1項は「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めています。環境省も「廃棄物処理業者に産業廃棄物の処理を委託した場合であっても、排出事業者に処理責任があることに変わりはありません」と書いています。
木くずが産業廃棄物になるか、事業系の一般廃棄物になるかは、誰がどんな作業で出したかで変わります。東京都環境局は、木くずを含む一部の品目について「日本標準産業分類による業種に該当した場合は産業廃棄物で、それ以外の場合は事業系の一般廃棄物となります」と説明しています。区分が変われば、運ぶために要る許可も変わります。産業廃棄物は都道府県知事等、事業系の一般廃棄物は区市町村が許可を出し、前者は東京都環境局のページ、後者は世田谷区の一般廃棄物収集運搬業許可業者名簿で調べられます。
捨て方が適正でなかった場合の罰則は重く置かれています。廃棄物処理法第25条第1項は不法投棄を「五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とし、法人にはこれと別に3億円以下の罰金があります(区や都のページには、2025年6月に拘禁刑へ一本化される前の「懲役」の表記が残っています)。野外で燃やすこともここに入ります。ただし全面禁止ではなく、廃棄物処理法第16条の2は、処理基準に従って行う焼却などを禁止の対象から外しています。
読者の側でできるのは、一言聞くことです。「切った枝はどこへ持っていきますか」。決まった処分先がある業者なら、施設の名前か地域が普通に返ってきます。答えが曖昧なまま話が進むときは、そこを保留にしておいて構いません。
作業の範囲がどこまでか
同じ「伐採」という言葉でも、見積りが指している範囲は会社ごとに違います。安い見積りは、範囲が狭いぶん安いことがあります。
| 項目 |
含まれているか |
| 木を切る作業 |
ほぼ必ず含まれる |
| 切った枝葉を集めてまとめる |
別扱いのことがある |
| 敷地の外へ運び出す |
別扱いのことがある |
| 処分費 |
別行になりやすい |
| 切り株・根の処理 |
含まれないことが多い |
| 足元の下草・竹・つる |
触れられていないことがある |
| 養生と作業後の掃除 |
記載がないことがある |
| 駐車場所の手配 |
実費になることがある |
| 近隣への声かけ |
誰がやるか決まっていないことがある |
切り株を残すか抜くかは、それだけで金額が動きます。判断の分かれ目は切り株は抜いたほうがいいのか。残す・枯らす・抜くの分かれ目(世田谷区)に書きました。
道が狭い、重機が入らない、電線が近い、隣家との距離がない。こうした条件は、作業の手数を増やします。他社より大きく安い見積りが、現地を見ないまま電話や写真だけで出たものなら、この部分が読み込まれていない可能性があります。
決める前に、電話で聞いておくこと
- 処分費は含まれているか。別なら、何を基準にいくらになるか
- 切った枝はどこへ持っていくか。運ぶのは自社か、別の会社か
- 切り株と根、足元の下草やつるは、この金額に入っているか
- 作業後の掃除と、養生はどこまでか
- 当日に金額が動くとしたら、どんな場合か
- 見積書に、右の内容を書いた形でもらえるか
聞いたときに、嫌がらずに答えが返ってくるかどうかが、たぶん一番の材料になります。安いこと自体を疑う必要はありません。中身が説明できる安さなら、それは頼んでよい安さです。
庭番にご相談いただけること
庭番は世田谷区とその周辺で、伐採、抜根、剪定、草刈り、庭の片付け、植栽・植え替えを請けています。八年、二千件ほど木や草を見てきました。他社の見積りをお持ちの状態でのご相談も承ります。どこまでが含まれていて、どこからが別なのか、同じ形に揃えて並べれば比べやすくなります。料金の目安はサイトの料金表をご覧ください。ご相談は電話とLINEで。
参考にした資料
この記事は2026年9月時点の法令と、国・都・区の公表資料によります。ごみの区分や出し方の条件、許可業者の名簿、相談窓口は変わることがあります。ご自宅の条件に当てはめる前に、上の各ページで最新の内容をご確認ください。